外側はパリッと、中はしっとりとした次世代グミキャンディ「グミッツェル」がSNSやYouTubeをにぎわせている。グミッツェルを扱う、カンロのヒトツブ事業部長 金澤理恵さんは「緊急事態宣言が発出され、店舗の休業が決まり、大量の在庫を抱えた時には頭を抱えました。でも未曽有の事態なのだからしょうがない……と諦めかけていた私に、社長が言った一言がオンラインショップ立ち上げのきっかけでした」という――。

「グミッツェル」ブームの陰で奮闘した立役者

カラフルでかわいいキャンディやグミがずらりと並ぶ店内は、仕事帰りの女性たちや旅行客でにぎわっている。東京駅構内のグランスタ東京にある「ヒトツブカンロ」は、カンロ初の直営店だ。

数あるオリジナル商品の中でも、人気NO.1と話題を呼んでいるのが「グミッツェル」。外側はパリッと飴のようで、中はしっとり柔らかなグミという、新食感を楽しめるグミキャンディなのだ。整理券が配布されるほどの人気で、昼過ぎに訪れるとすでに完売していた。

カンロ ヒトツブ事業部長 金澤理恵さん
カンロ ヒトツブ事業部長 金澤理恵さん(編集部撮影)

実はこの「グミッツェル」が爆発的にヒットしたのはコロナ禍のこと。いち早くオンライン販売を始めたことが功を奏し、その立ち上げに奮闘したのがヒトツブ事業部長の金澤理恵さんだ。20数年、商品企画に携わってきた金澤さんが「ヒトツブカンロ」に携わるようになったのは2012年。

創業100周年を記念して、初の直営店「ヒトツブカンロ」が東京駅にオープンした時だ。金澤さんは、オリジナル商品の企画に携わることになった。

「金澤さんとは一緒に仕事をしたくない」

「飴をあげる楽しさともらう楽しさをつくる場が『ヒトツブカンロ』。人をつなぐひと粒になればというコンセプトから、キャンディそのものの価値をもっと高めていきたいという思いがありました」

理想を胸に、生キャラメル、アーモンド菓子やゼリーなど、飴やグミにとどまらない商品を次々に展開していった。「おいしいのに売れ行きが思うほど良くない」商品は、自ら店頭に立って、試食販売をしながら売り上げたこともある。その頑張りや実力が認められ、やがて店舗運営も任されたが、その矢先に苦い失敗が待ち受けていた。

ある日の午後、ヒトツブカンロの商品企画を一緒に担当するデザイナーから一通のメールが届く。何の気なしに開いたところ、そこにはこんな内容が書かれていた。〈仕事をするのがつらい。金澤さんとは一緒に仕事をしたくない……〉と。長文のメールをスクロールする、マウスを持つ手が震えた。

「打ち合わせ時に意見が食い違うことは何回もありました。でも、私はこう思うとそのつど伝えて、そのつどきちんとコミュニケーションが取れていると思っていたのですが。その日はもう仕事ができなくなってしまい、同僚に声をかけて、隣の居酒屋で飲みました。周りに迷惑なくらい、ひたすら泣きましたね」