夜残業から朝型へ
【白河】どうしても長時間労働になりがちな業態についてはどう対処していらっしゃいますか? お店の時間も店舗の場所によってまちまちですよね。
【高橋】一番われわれが懸念している意欲ある女性社員の流出を防止するには、女性の就業を阻害する長時間労働、これを改善していくべきだと各社認識しています。社内アンケートなどで実態を把握していくと、やはり残業という問題が出てくるんですね。
そこで「働き方見直しプロジェクト」を立ち上げて取り組んできました。
その中で一つ出てきているのが、夜残業するのを朝型に変えるという動きです。朝の時間の活用がすべての女性にとって解決になるとは限らないですが、導入してみると組織全体で大きな成果があった。そして、良かったら事例を横展開するようにします。ダイバーシティの取り組みというのは、いろいろやってみて、全社・全グループで共有化するようにしています。年1回、ダイバーシティアワードという表彰を実施しております。全世界170社で集まる経営者会議があって、そこで良い取り組みを表彰しているのですが、情報の共有化の場でもあり、ダイバーシティへの取り組みに対するモチベーションを高める場でもある。「ダイバーシティマガジン」も発行し、これも事例を共有する場にしています。
【白河】立派な冊子ですね。これは年何回出ているのでしょうか?
【高橋】年4回です。各社の取り組みや成功事例を載せていましてね。業種業態が違い、またニーズも違うグループ各社が有りますので、自分のところに合っていると思ったらそれを導入してもらうという仕組みですね。とにかく、トップのコミットが絶対必要ですから。
【白河】そうですね。ダイバーシティの取り組みが進んでいるところは、どこもトップが旗を振っています。
【高橋】マガジンには毎回必ずグループ各社のトップに出てきてもらって、トップが考えるわが社のダイバーシティを語ってもらっています。
少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。1億総活躍会議民間議員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)。
構成=白河桃子 撮影=永井 浩