「できないこと」は「できること」に言い換えて
「あなたはこの作業ができないのですか?」【否定的な質問】
この質問を手掛かりに、否定的な質問と肯定的な質問について考えてみましょう。この例では「できないこと」に焦点が合っています。このように、できていないことや理想とのギャップに対して焦点を合わせて、相手に視点を向ける質問を「否定的な質問」と呼びます。一方、できていることやできること、理想的な状態に焦点を合わせた質問は「肯定的な質問」と呼びます。上の質問を「肯定的」に言い換えると次のようになります。
「あなたができるのはどの作業ですか?」【肯定的な質問】
また、次のような言い換えもできます。
「どうしたらこの作業ができるようになりますか?」【肯定的な質問】
「この作業をできるのは誰ですか?」【肯定的な質問】
ここでの「否定的」「肯定的」というのは、言葉だけでなく質問の意図や文脈によっても左右されます。たとえば、子供のころに誰もが親に言われたであろう「宿題は終わったの?」という質問は、言葉だけ見れば中立的です。しかし、「やっていないに違いない」という思い込みと共に質問されると嫌な気持ちになるものです。また仮に、宿題が終わっていないことが周知の事実であるにもかかわらず、「できたのか?」と質問されても同様に嫌な気持ちになってしまいます。このように、たとえ言葉が同じであっても、聞こえ方によって相手に与える印象が全く異なるものになってしまいます。
人のやる気を引き出そうとするときは、相手が「できる」ことに視点を向けられるようにする必要があります。ですから、否定的な質問でやる気をそがないように気を付けましょう。人をやる気にさせるのは「肯定的な質問」なのです。ではもう1つの要素である「未来志向の質問」とやる気との関係を見ていきましょう。