出世する男は体育会系だらけ

そこで必ず出てくるのは「数だけでいいのか?」議論。一部の女性たちからは「女性だから昇進した」と言われたくないという意見。「数だけ揃えましたという企業が増え、結局実力のない女性が昇進して、やっぱり女性はダメだったということになると女性活躍が衰退しかねない」という懸念もあります。

私はどちらかと言えば、ポジティブアクションには賛成だったのですが、先日ある経験をしてから、はっきりと賛成になりました。

大学同期で一部上場企業の雇われ役員をしている同級生の会食に同席する機会があったのです。私は慶応の出身で、慶応には一部上場企業の跡取り息子社長も大勢いる。そういう人たちはよく知っているのですが、大企業で一から階段を上り、大勢の同期の中で出世していく男性とはどういう人たちなのか?

それを実際に見る機会があって、「やはりポジティブアクションには賛成」と強く思った次第。なぜなら、その男性たちは「体育会系」だったからです。それもラクビー部とか、アメフトとか、かなりハードなスポーツです。有名選手だった人もいました。

この人種の中でフェアに闘って上にいけというのは、女性を1人男性のラクビーの中に放り込むようなもの。同じフィールドで同じ条件で戦ったら、つぶされてしまう。

知っている優秀な女性社長たちで、もっとも「猛者」と思われる人の顔を思い浮かべても、彼女たちが大企業で一歩一歩、男性たちに交じって上にいくイメージはありません。創業社長になるのと、日本の保守的な大企業で長い時間をかけて登っていくのは、また違う能力が必要なのです。

とにかく、女性が1人ではなく複数、大企業の責任あるポジションにつくには、ある程度のポジティブアクションが必要でしょう。