少子化は複合的な問題
日本の少子化が止まりません。2024年の出生数は68万6000人で、初めて70万人を下回り、合計特殊出生率は過去最低の1.15となりました。その結果、死亡数が出生数を大幅に上回り、想定以上の早さで少子化が進行しています。
こうした少子化の主要因は、よく指摘されるように「未婚化」にあります。いま、日本では50歳時点で未婚の人の割合が、男性で約3人に1人、女性で約5人に1人に達していますが、この婚姻数減少が、少子化を引き起こしています。
未婚化という現象は、「何か一つを変えればいい」という処方箋が見いだせない、複雑な現象です。一つのトピックだけをとりだしても全体像にはたどり着けませんし、全体像がわからなければ処方箋をまともに議論することもできません。
そこで本稿では、わかりにくい少子化現象の全体像を図表1にまとめ、この図を元に処方箋を議論してきましょう。今、巷で指摘される処方箋、たとえば「経済支援」や「育児支援」などがあまり期待できないことが見えてきます。
