収入が低いわけじゃないのに、気付いたら毎月赤字家計。ボーナスを頼りにカード払いをしていたら、まさかのボーナスカット。老後に備えた貯蓄どころじゃない──。家計再生コンサルタントの横山光昭氏がそんな家計の改善プランを提案。
岩木家の家計簿改善 BEFORE⇒AFTER [年収:690万円]
家族構成●夫(46歳・電機メーカー勤務)、妻(46歳・専業主婦)、長男(17歳)、次男(15歳)、夫の父(75歳)
年収●額面=692万円/手取り=554万円
ボーナス●夏=55万円/冬=55万円 相談時の貯蓄額●240万円
突然他界した母。子供たちは、遺された75歳の父の様子が気になり、忙しい合間をぬってはその元へと足を運んでいた。そんなある日、父は「これ以上子供たちに迷惑をかけるわけにはいかない」と言い、有料老人ホームへ入居することになった。
ところが父は、入居者としばしばトラブルを引き起こす。そこで、施設・父・子供たちの三者で話し合った末、老人ホームを退去することになった。だが、自分の家を手放していた父は帰るところがない。それに貯蓄のほとんどを入居一時金として老人ホームに支払ったので貯蓄もない。退去するときも、そのほんの一部しか戻ってこなかったというのだ。
誰が父の面倒を見るか――子供たち3人で話し合うことになったのだが、「長男だから俺が引き受けるよ」、そんな安請け合いで話は決着した。そして、ほかの2人は毎月2万円ずつ、計4万円の援助をすることになったのだ。
かくして岩木家には夫の父がやって来た。とはいえ、夫は仕事が忙しくて父の面倒など見られない。妻だって仕事をしていたが、結局は妻が何かと世話をすることになった。
ところが、父は母をなくして以降、精神的な張りがなくなったためか、体力低下が日に日に目立つようになり、介護を要する部分も生じ始めていた。そうなると、仕事を持ちながら父の世話をするのは、妻も厳しい。妻は仕事を辞めざるをえなくなったのである。これが家計には大きく響いた。なぜなら、妻が稼いでいた月10万円の収入があればこそ、父を支えられると考えていたのだから。
支出も想定より増えていった。たとえば食費。父は和食を中心とした薄味を好み、17歳と15歳の息子たちはまさに食べ盛りで肉食を好む。結局、2種類の食事を用意しなければならない。