文章を書くのが苦手だ。メールの表現に悩み、時間がかかる。マナーに厳しい取引先がいる……。一般的な書き方を知れば、面倒は減る。今回、ニーズ別に、フレーズと文例を集めた。日本ビジネスメール協会の平野友朗さんと「ビジネス表現の基本」を確認しよう。

提案への「お礼」に断りの謝罪を添える

プランなり商品なりの提案を受けたが、採用には至らなかった。一律の「不採用通知」で済む相手ならばいいのですが、そうでない場合にはどうすべきでしょうか。悩ましいところです。

不採用を伝えるときに注意すべきなのは、まず提案に対するお礼を述べるということです。そのうえで、「今回はお断りすることになりました」と書きます。重ねて「ご尽力いただいたにもかかわらず、お力になれず申し訳ありません」と、お詫びの言葉を添えるのがいいでしょう。

社内の相手への「断り」にもポイントがあります。たとえば上司から仕事を頼まれても、多忙などの理由で対応できないことがあるでしょう。このとき、単に「できません」と断る人が、最近は多いのだそうです。

「できません」が続けば、その人は徐々に信頼をなくします。上司が尋ねたいのは、「なぜ今できないか」「どの時期ならできるか」ということ。「断り」は相手の事情を酌んで丁寧に伝えましょう。信頼をなくすどころか、次の仕事につながるはずです。

【基本のフレーズ】

◆残念ですが、今回はご要望に沿うことができません。
――「残念ですが」は、相手にとって嫌なことを伝えるときの慣用語。

◆検討を重ねましたが、見送りとさせていただきます。
――採否の決定までに時間がかかった場合に。

◆たいへん心苦しいのですが~
――採否を告げる自分も心を痛めている、ということを伝えるフレーズ。

◆ご遠慮いたします。
――提案や申し出はありがたいが、受け入れられないという意味。

◆ご要望には沿いかねます。
――商品の売り込みなどに、断りの返事をするときに。

◆ご提案くださり、まことにありがとうございます。
――断り状には「採否を告げる」だけでなく、「提案へのお礼を述べる」という目的もある。

◆この件につきましては、辞退させていただきます。
――提案に対して、遠慮しつつ断るときに。

◆見送らせてください。
――次回以降は採用するかもしれないと、言外ににじませる書き方。親密な相手に。

◆お力になれず申し訳ありません。
――親密な相手に対し、提案を断るときのフレーズ。