浮気がもたらす負のスパイラル

【塚越】男性が浮気するのは、愛情とはまた別の話なんですね。

【グレイ】はい。その女性に愛情を感じているかどうかはまったく関係ありません。浮気をする男性の中には、奥さんを愛している人も大勢います。でも「浮気をする機会がある」というのは男性にとって大きな動機になるのです。奥さんとの性生活に満足していたとしても、また違った種類の興奮を得られるかもしれないと思うと、つまみ食いをしたくなるのです。一人の人だけを愛し続けることの価値を本当に理解するまでは。それが私が伝えているメッセージの一つでもあります。一人の人とパートナーシップを築いてお互いにずっと情熱的な関係を保つためには、お互いに浮気をしないということが必要不可欠な要素です。他の人と性的な関係を持つことは、パートナーとの間に関係を育てることの邪魔をしてしまうのですから。

【塚越】信頼関係という意味において、でしょうか?

【グレイ】それもそうですが、身体的な観点からもそう言えます。例えば、パートナーとのセックスによって「愛情ホルモン」ともいわれるオキシトシンが放出されると、男性ホルモンであるテストステロンが下がります。これを再び同じレベルに増やしていく過程で、他の女性に目が行くと、脳内にドーパミンがでてきます。浮気というのはバレたらどうしようという危険もありますし、それだけでワクワクするものです。そしてドーパミンはテストステロンを増やします。そこで他の女性と身体の関係を持ってしまうと、パートナーである奥さんに魅力を感じなくなってしまうものなのです。

【塚越】うーん、なるほど。単にモラルの問題というだけでなく、体にも変化があるのですね。

【グレイ】そうです。その結果として、男性が女性に魅力を感じていなければ、奥さんも彼に対してオープンになれません。心を閉ざしたまま夫婦関係を続ければ、それは彼にも伝わり、彼女への興味はますます失われてしまいます。そこで、他の女性との浮気に走るという状況になるのです。また、奥さんへの興味を失う過程で、日本でも蔓延しているポルノを鑑賞するという人も大勢いるでしょう。それ自体は実際に生身の人間を相手にする浮気ではないので、モラル的によくないというわけではないかもしれません。でも、奥さんに向けられるべきエネルギーを無駄に使ってしまっているという点では、結婚生活にダメージを与えていると言えます。

【塚越】浮気をすると、パートナーシップに使われるべきエネルギーが分散されてしまうということなんですね。