モーニングタイムの来客が増えている
一般にファミレスが最も混むのは昼、次が夜で、3番目が朝(残りは午後、深夜、早朝など)。アイドルタイムというほど空いているわけではないが、モーニングタイムに満席というファミレスはほとんどないため、この時間帯の来客が増えれば売上増に直結する。
デニーズでは、2014年に50万人、2015年に45万人、モーニングタイムの客数が増えたという(いずれも前年対比)。こうした流れを受け、2015年3月には「コンビネーションブランチ」(948円)「フルグラ&サラダモーニング」(587円)などのモーニングメニューを強化した。特にコンビネーションブランチは、ミニハンバーグ、スクランブルエッグ、ソーセージ、生ハムサラダ、ベイクドポテトなどが並ぶ、昼食並みに食べ応えのあるメニュー。「ちょっと高くてもしっかり食べたいというニーズに応え、実際に人気もありました」(セブン&アイフードシステムズ広報部)
トースト&ゆで卵サービスも、こうしたモーニングタイム強化策の延長線上にあり、従来のモーニングメニューと両方提供していくという。デニーズには一部、一般店舗よりも店長の裁量が大きく、実験的な試みを行える店舗があり「今回のサービスは、松戸店から上がってきたものです。『実際にやってみたら(モーニングタイムの来客に)効果がありますよ』という声があったので、全国で採用することになりました」(同上)
シニア層で新たな需要を開拓
モーニングタイムを強化するもう1つの大きな狙いが「シニア」だ。出勤途中でゆったりと朝食をとるのは難しくても、定年退職して、朝の時間にゆとりのある人であればメニュー次第でファミレスに朝食を食べにきてくれる可能性は高まる。
ガスト(299円~)、ジョナサン(399円~)、ロイヤルホスト(440円~)といった他のファミレスでもモーニングメニューを提供しているが、いずれも「メニューを選ぶとセットドリンクが付いてくる」という形になっている。果たして「好みのドリンク+トースト」の名古屋喫茶店方式モーニングは、デニーズによって全国区で根付くだろうか。