伊藤氏によれば、稲盛流の発想法では、悲観は左脳、楽観は右脳がつかさどると考え、その都度、「脳の切り替え」が重視されるという。一般的に、左脳は理性的思考の領域で、論理的、分析的、科学的思考を行い、右脳は直感的ひらめきの領域で、創造性、全体的把握、芸術的感性を生むとされる。
「普通の人は、構想も計画も実行も、同じ脳で行ってしまいがちです。私の所属する横浜の盛和塾には、JALの方たちも参加されていますが、JAL再建でもエリート層は当初、実行も左脳で悲観的に考え、人・モノ・金・情報・時間の“5つのできない理由”をあげたそうです。そこで、稲盛塾長が、“楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する”という意識改革を行い、それぞれの段階に見合った人を配した結果、一人ひとりが実行においても、いろいろな工夫をするようになった。家庭生活でも、不安や怖さがともなうことについては、楽観の右脳、悲観の左脳の切り替えが大切です」(伊藤氏)
【稲盛哲学】動機善なりや、私心なかりしか ⇒ 楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する
伊藤正孝
税理士、ファイナンシャル・プランナー。
1960年生まれ。プライス・ウォーターハウス・クーパースを経て、2004年に伊藤正孝税理士事務所を立ち上げる。稲盛氏の勉強会「盛和塾」では盛和塾横浜の元会計担当事務局を務めた。
税理士、ファイナンシャル・プランナー。
1960年生まれ。プライス・ウォーターハウス・クーパースを経て、2004年に伊藤正孝税理士事務所を立ち上げる。稲盛氏の勉強会「盛和塾」では盛和塾横浜の元会計担当事務局を務めた。