車、家、保険、教育どれを諦めるのか?

【藤川】私のところに駆け込んでくる人って、実は世帯年収800万~1500万円の高所得の人のほうが多いんです。今は裕福でも、このままの生活を続けたら、5年後、10年後に必ず破綻してしまうという人は、話すとすぐにわかります。彼らは将来的な見通しが甘いんですよ。「自分株式会社の社長」であるにもかかわらず、将来の売り上げ計画を立てて、そこに向けてどう投資していくか、支出を抑えるかという企業として当たり前の経営計画がまったくないから、貯金もない。

藤川 太(ふじかわ・ふとし)氏

【菅井】人生を俯瞰で見ていないんですよね。だから、子どもが生まれたときから決まっている進学のタイミングで慌てたりする。なまじ収入が多いと気持ちも大きくなるから、「車」「家」「保険」「教育」のいわゆる「四大資産」も野放し状態。共働きだとなおさら気持ちが大きくなって、家計は中性脂肪で膨れあがったメタボ状態です。年収2000万円なのに貯金がない。だけど六本木に住んでいて、車はベンツで、子どもは幼稚園から私立。さらにマンションも買いたいとか言われると、呆れちゃいますよ。

【藤川】持ち家の夢が譲れないなら車を諦めたり、保険を見直したりするのが普通の会社の経営。お金には限りがあるからメリハリをつけなきゃいけないのに、全部手に入れようとするから……。

【菅井】お金の使い方も生活習慣病のひとつです。健康とお金ってよく似ていて、たとえばダイエットするときは、「先週より1kg減った」「先月より2kg減った」と記録を見直すことでモチベーションを上げますよね。お金も一緒で、家計簿をつけることで「今月の収支は3000円プラス。来月はタクシー代を半分にしてみよう」とか考えられるんです。

【藤川】そう考えると、私のお客様も2種類に分けられますね。家計がメタボになってから病院のように「助けて!」とやってくる人と、もっとお金持ちになるためにフィットネスクラブのように通ってくれる人。

【菅井】私たちの知識をフィットネスクラブ的に使ってくれる人がもっと増えるといいですね。そういう人が本物の「お金を貯められる人」であり、「お金を増やせる人」ですよ。