グローバリゼーション&データで示す重要性:芝浦工業大学
理系学部に女性は少ない。特に工学部の場合、その傾向は顕著だ。日本には工学分野の大学女性教員は3.5%しかいないそうだが、そんな中で女性教員・女子学生を増やす取り組みをしているのが芝浦工業大学である。2015年度、同大学の専任教員の女性比率は12%。大学教員数294人中、31人が女性だという。
同大学では、学長・理事長の強いリーダーシップの下で女性研究者の積極的な採用・登用・ネットワーク形成を行っている。パネルディスカッションに登壇した村上雅人学長が特に強調したのは、「グローバリゼーションには性別だけでなくいろいろな視点の人がいるのが大切」「数字を示す重要性」だ。村上学長はもともと研究者で、芝浦工業大学にやってきたとき女性が少なすぎて驚いたという。
「芝浦工業大学は(2015年で)創立88周年になります。現在、女子学生は13%いますが、2003年に私がこの大学に来たとき、女子学生はたった2%しかいませんでした。2015年には25%を目指しています。女性職員は比較的多いのですが、管理職が少ないのが課題と思っています。
2027年の創立100周年に向けていくつか数値目標を立てており(編集部注:「チャレンジSIT-90」作戦 http://www.shibaura-it.ac.jp/about/sit-90/second_stage.html)、このうちの一つが『ダイバーシティ』です。男女両方いる、ということはとても大事なこと。グローバリゼーションには、性別だけでなく、いろいろな視点の人が居るということが大切なのです。
私はもともと研究者。研究の世界には女性がいるのが当たり前で、そこからイノベーションが生まれています。ですから大学に来て、あまりに女性が少なすぎるので驚きました。心がけているのは、徹底的に数字を示すことです。現状はいくつで、目標はいくつなのか。海外ではどうなのか、いちいちデータで示す。工科大(にいる人たちが相手)なので、“データで説得”という手がよく効くんです」(村上氏)
男女を問わず、理系研究者のキャリアは30歳頃に決まる。しかし女性の場合、出産・育児というライフステージと、キャリアにとって大事な時期が重なってしまうという問題がある。
「発想の転換が大事です。長期的な目で見て、一時的に離れても戻ってくれば良いわけですから。大学側でもサポートできる制度(http://plus.shibaura-it.ac.jp/diversity/scientist/life-event)を整えています。休む先生には、支援費用をつけてキャリアがストップしないようにサポートする、などですね」(同上)