投資をするとき、あるいは就・転職先を選ぶとき、企業の財務内容までチェックできている人はまずいない。どうすれば、無機質な数字の並ぶ決算書や、難解な有価証券報告書が「読める」ようになるのか。ここでは、ひとつのビジネスサイトを入り口に、バランスシート(貸借対照表)をはじめ、ファイナンスのイロハがわかるヒントと考え方を紹介しよう。
バランスシートがきちんと読めますか
ネット上にはビジネスサイトが数多くあるが、多くはとても使いものにならないか、役立ちそうな情報を得ようとすると有料会員になる必要がある。そんな中で、希にブックマークしておきたい出色の無料サイトに出合うことがある。
その一つに「ユーレット(Ullet)」がある。上場企業4000社の決算書を分析し、各社の財務内容や収益構造、過去からの業績の推移が一目でわかり、さらには大株主、社員の平均年収なども知ることができる。
有価証券報告書や決算書を見ても、企業会計に馴染んでいない素人にとっては、無機質な数字からその意味を探るのは相当に難しい。例えば、株式投資では、投資先企業の貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)を読み込むことが大切で、企業のキャッシュフロー(C/F)も重要だといわれる。
しかし、果たして、どれだけの個人投資家がこれらを分析して株を買っているだろう。結局は株価が上がった、下がった、あるいは増益、減益といった程度の情報で売買しているのではないか。運がよければ、それだけでも多少は儲けることもできるが、むしろ失敗することのほうが多い。
しかし、その裏に潜む会計情報を知っていれば、この会社の株はなぜ上がり、なぜ下がるのかがより鮮明に理解できる。このサイトでは、難解な財務内容を企業別にカラーの円グラフや棒グラフで“見える化”しているため、それがすんなりわかるはずだ。
ユーレットを運営するメディネットグローバルの西野嘉之CEOがいう。
「僕は、IT技術者なのですが、ユーレットを運営しているためか『いまは株が下がっているけれど、どの銘柄がお買い得なんだ』と知り合いなどが電話をかけてくる。そのたびに『僕は投資顧問業ではないから、そんなことはいえないよ』というのですが、彼らは『どこの情報を見ても、何を買っていいかわからないんだ』と嘆くわけです。これだけネット証券が増えているにもかかわらず、また特にいまは株価が安くなっていて、多くの人が株を買ってみたいと思っているにもかかわらず、企業情報をとれるリソースはあまりにも少ないということです」