こうした優遇制度を作ったものの、14年の新設住宅着工件数は前年比9.0%減。2年ぶりの90万戸割れとなった。当然、住宅価格の下落にもつながっており、売れ残った物件を捌くために、大幅な値引きが行われているのが実態だ。

駆け込みニーズの反動で起こる増税後の住宅価格の下落に加えて、前述した3つの優遇制度を利用すれば、あわてて住宅購入せず、むしろ8%への増税後に購入をしたほうが得だったというケースも多い。

消費税が10%になる17年4月に近づくと、巷には再び増税狂想曲が流れ出すだろう。だが、住宅は人生最大の買い物だ。消費税アップといった一点にとらわれることなく、利用できる住宅ローン控除やすまい給付金や不動産の需給環境などもトータルで考えたいもの。そして、十分な返済計画をたてたうえで、慎重に買い時を見極めたい。

※図版は吉澤大氏への取材をもとに編集部で作成

相続税、住宅ローンのプロフェッショナル●吉澤 大
税理士、中小企業診断士。國學院大學大学院博士前期課程修了後、会計士事務所勤務などを経て、吉澤税務会計事務所代表。著書に『2時間で丸わかり 不動産の税金の基本を学ぶ』『ケチな社長はなぜお金を残せないのか?』。
(早川幸子=構成)
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