相談者の方は明らかに準備派体質ですが、「参加者への怒りと自分への失望」を感じないためにどうすればよかったか。たとえばですが、同窓会で声をかけるメンバーの中に「そんな自分をわかってくれている人」を入れるというはどうでしょうか。体育会系の集まりだと、10人ぐらいでやるときには、必ずひとり手下を連れていくんです。その手下が「いかにこの人が準備で大変だったか」を物語る。しかもそれをこれ見よがしに言うんじゃなくて、こっそり一人ひとりに「あなたには絶対来てほしいってずっと言ってたんですよ」みたいなことを伝えてまわって、最後には「今日は本当にありがとう!!」みたいな空気をつくるんですね。こういうのが上手にできる後輩は先輩に重宝がられて飲み会に連れて行ってもらえます。

体育会というのはうまくできていて、「伝説の人」「伝説を語る人」「伝説を聞く人」みたいな役割分担があるんです。これをひとりで全部やるのは無理です。会を上手に運営するうえで、幹事は表に立ってみんなとやりとりしないといけないから雑務まで手がまわらない。だから裏で細かな微調整をやっていく後輩なり部下なり友人の存在が必要なんです。あるいは幹事の悩みとか苦しみがわかる「幹事経験者」を一定割合で入れるのもいいかもしれません。

自慢話を大声でしたり、スマホをいじり続けたり、飲み会に出席していないクラスメイトに電話したり……という残念な参加者が多かったと同窓会とのことですが、意外に彼らの満足度は高かったかもしれないですよ。以前、エンジニアの飲み会に行ったんですが、その場ではほとんど会話もなくみんなずっとスマホをいじっていたのに、LINE上では「すごく楽しかったね!」って盛り上がっていました。体育会的な盛り上がりとはまた違った楽しみ方もあるのかな、と思いました。という感じで、「あれはあれで面白かったな」と思えてしまうのが現場対応体質なんです。

為末 大(ためすえ・だい)
1978年広島県生まれ。陸上トラック種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2014年10月現在)。2001年エドモントン世界選手権および2005年ヘルシンキ世界選手権において、男子400メートルハードルで銅メダル。シドニー、アテネ、北京と3度のオリンピックに出場。2003年、プロに転向。2012年、25年間の現役生活から引退。現在は、一般社団法人アスリート・ソサエティ(2010年設立)、為末大学(2012年開講)、Xiborg(2014年設立)などを通じ、スポーツ、社会、教育、研究に関する活動を幅広く行っている。
http://tamesue.jp
(撮影=鈴木愛子)
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