思いやりと勇気のバランスが重要だ
「第3の案」を生み出すための最初のプロセスは、「Win-Winの意思を持つ」です。「私は勝ちます。自分の意見、自分の思いは通したいのです。でも、あなたを負けさせるわけにはいきません。あなたも満足できるようにしたいのです」という自分も勝ち、相手も勝つという意思、態度を持つことがスタートになります。この「Win-Winの意思」を持つためには、人格的な成熟度が必要です。そのためには、勇気と思いやりを高いレベルで保つ必要があります。(図を参照)一般的に、勇気と思いやりは相対すると考えられていますが、高いレベルでこれらのバランスをとることができるのが、『7つの習慣』の中でいう「成熟した人」ということになります。
次が「成功を定義する」プロセス。つまり、お互いのニーズは何かを本当の意味で理解するということです。理解するためには、「聞く」ではなく「聴く」必要があります。英語では、「hear」と「listen」と言い換えられますが、「聴く」は耳だけでなく、目と心によってよく聴くという意味だと理解してください。もっといえば、自ら意思を持って聴きにいく、相手の表情まで目も使って観察し、相手の心を読みとりながら聴いていく、理解し共感するためだけに聴くということになります。
『7つの習慣』では、考え方やものの見方(視点)のことをパラダイムと呼んでいますが、相手のパラダイムを理解しない限り、本当の意味で相手を理解することはできません。まずは自分の眼鏡(パラダイム)を完全に外して、純粋に相手を理解・共感するために聴くことが重要です。たとえば、相手が言っていることを、「つまり、あなたが言いたいことはこういうことなんですよね」と自分の言葉で言い換える。あるいは、「なるほど、つまりあなたが言いたいことは、Aだから、Bなんですね?」と確認します。同意はできなくても構いません。ここでは理解に徹します。それに対して相手が「いや、それではまだ半分しか説明しきれていない」などと返答した場合には、「ごめんなさい。それでは、もう1回説明をお願いします」と言って、改めて聴く。そして、再び自分が正しく理解できているかどうかの確認をします。この繰り返しです。