深刻な宿泊施設不足に勝機あり

離れとして茶室もしつらえた。

近年、訪日外国人観光客が急増しているのはご存じの通り。政府が観光立国を旗印に「ビジット・ジャパン」事業を開始した2003年に約521万人だった訪日外国人観光客は、昨年は過去最多の約1341万人まで増えてきた。今年は9月時点ですでに昨年の数字を上回り、通年では1800万人に達することが見込まれている(国は2020年までに訪日外国人観光客を2000万人とすることを目標に掲げている)。

一方で、首都圏を中心にホテル・旅館等の宿泊施設不足が深刻で、昨年のクリスマスや今年の花見のシーズンには、普段7000円程度で泊まれる都内のビジネスホテルの宿泊料が、5万円台に跳ね上がるなどして話題になった。

「海外では1部屋いくらの宿泊料金設定が主流ですが、日本は1人いくらで計算される場合がほとんどなので、家族連れやグループの旅行者にとっては宿泊費用がバカになりません。Airbnbは1泊貸切りの料金設定。私の物件には6人程度まで泊まれるので家族連れなどが利用すれば割安ですし、昔ながらの日本の民家に泊まる異文化体験もできる。需要はあると思うんです」(紺野氏)

また、株式会社リクルートライフスタイルが昨年末、過去1年以内に日本を旅行したことのある訪日上位6カ国・地域の20~59歳の男女600人を対象にした「訪日旅行者の実態調査」によると、次回宿泊したいのは「古民家など日本の古い建築物を利用した宿」29.9%、「日本人の日常生活が体験できる宿」27.7%、「農家など日本の原風景が体験できる宿」21.7%などとなっている。

紺野氏のAirbnbはまさにこうしたニーズを捉えたものと言えそうだが、民家を宿泊施設として貸し出すのはそう簡単ではない。国内では原則として「旅館業法」の規制があるし、見知らぬ外国人が出入りすることには近隣住民の理解も不可欠だ。実はAirbnbに登録されている物件の一部には、こうした法律やモラルの問題をクリアせずに運営されているものもあり、トラブルも起きている。

次回はAirbnbの普及にあたっての課題や問題点などについても見ていきたい。

紺野健太郎(こんの・けんたろう)
不動産投資家。1978年、東京都生まれ。高校を中退後、さまざまな仕事を経験。25歳のときに不動産投資で身を立てることを決意し、31歳のときに最初の物件を取得する。現在は10以上の物件を所有し、年間家賃収入は5000万円を超えている。著書として『最速でお金持ちになる絶対法則』がある。
・公式サイト http://cashflowclub.jp
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