間違いで学習“成長型マインドセット”

ドウェック氏によると、ある研究では「もっと勉強する代わりに、カンニングをする」、別の研究では「自分よりも出来が悪い“誰か”を探す」という。やがて、「自分はできる!」と安心するために、難しい問題を避けて通るようになる。

科学者達が“間違い”に直面した際の脳の活動を測定すると、「停滞型マインドセット」の 生徒達の脳はほとんど活動しないという。“間違い”から逃げて、対処もしないからだ。「成長型マインドセット」の発想の生徒達は、間違えた問題に真剣にじっくり取り組んでエラー処理をして、間違いから学習し修正する。

▼停滞型マインドセット
<思考の基本>人の能力は生まれながらのもので変えられない。

・“今”の評価(賞讃)のために行動し、チャレンジするよりも、今をうまく乗り切る方法を見つける。
・自分が安心するために、人の足を引っ張り、自分より出来の悪い人間を探す。これにより自らの可能性をとめてしまう。

▼成長型マインドセット
<思考の基本>人の能力は成長していく。

・“まだ”と考えて挑戦することで、変化発展していくと考える。
・難しい問題を解く“プロセス”を楽しみ、すぐに結果が出なくても成長に感謝しながら、目標に向かう。

「テストの成績が悪くても『僕は数学の素質がない』と言ったら『僕には“まだ”数学の素質がない』と言い換えてやること。『僕にはムリだ』と言ってきたら『僕には“まだ”ムリだ』とつけ加えてみてください」とドウェック氏は話す。つまり、生徒たちに“まだ”と「学び続ける」という文脈をあたえることで、暗黙のうちに「成長型マインドセット」へ切り替わっていくというのだ。

ほんの少し考えを切り替えるだけで、自然と学習を続けるための道すじが見え、最終的にたどり着く目標が生まれていく。これは子どもたちばかりではなく、大人が生きていく上でも十分に役に立つ考え方だろう。

さて、どうやら生得的に「成長型マインドセット」だったらしい冒頭のふたりは、人気お笑いコンビのピースの綾部さんと又吉さんだった。自分を鼓舞するような言葉を言い続けたのは綾部さん、どうやったらいいかを研究模索するかのような言葉使ったのは、先日芥川賞を受賞した又吉さんのほうだ。文学を書き続けるかという質問に「ここでやめたら失礼だと思う」「まだ書ける」といった風に話していた。

「まだできる」「まだできていないだけ」。

これからの仕事で困難にぶつかったときでも、「まだ……」の心意気があれば、モチベーションがぐんと上がっていくはずだ。そう科学的にも証明され、私たちの周りの人たちもそうであることを証明してくれている。

「まだ」はたった2文字だが、成功につながるお守りなのである。

[脚注・参考資料]
Carol Dweck , Growth Mindset, TEDxNorrkoping Nov 2014
Carol Dweck Revisits the 'Growth Mindset' , Published Online Education Week, : September 22, 2015