家庭用浄水器が注目されている。東レや三菱レイヨンなどメーカーの集まりである浄水器協会が2007年7月に行った調査によると、全国の平均普及率は34.0%。前回05年のときよりも5ポイント近く増えた。なかでも人口が密集し、マンションも多い大阪府、東京都などの都市部では、軒並み40%を上回っている。
浄水器を設置している理由としては、(1)おいしい水を飲みたいから、(2)水道水が不安だから、(3)臭いが気になるから――といったことが上位にランクされた。とりわけ、屋上などに設置してある大型の貯水槽を経由して各戸に給水するマンションでは、水道水への不安が高く、浄水器普及の牽引役になっているようだ。
同協会専務理事の植田尚孝氏は「日本では水道法によって、水道水に消毒用塩素の添加が義務づけられている。これが、家庭に届いた段階でも残ってしまう。そのためカルキ臭がしたり、原水中の有機物と化合して有毒物質が発生する。浄水器は、これを除去することで、料理や炊飯、飲料水の質を良くしたいという消費者のニーズに応えてきた」と話す。
協会が統計を取り始めた1990年代初頭は、蛇口直結型が多かったという。しかし最近は、マンションなどの新築時にシンクの下にビルトインするタイプや手軽なポット・ピッチャー型が急速に伸びてきた。価格も前者で5万円、後者は1万円前後と値頃感も出はじめており、現在集計している09年の調査結果での普及率40%乗せも現実味を帯びてきた。
(ライヴ・アート=図版作成)