日本人に足りないのは「構想力」と「巻き込み力」

しかし、そんな日本もイノベーション大国アメリカに大きく遅れをとっている点があります。イノベーションを活かして「世界で大きく稼ぐ」ことができないことです。

米国はイノベーションを生み出して終わりではなく、それを世界標準にすることを強く意識しています。製品レベルで何か新しい技術を生み出したら、その技術を軸に世界を席巻するビジネスモデルを考え、仕組みをつくっていきます。こうした全体の構想力は、世界でも米国が抜きん出ています。

また、シリコンバレーに象徴されるように、世界を目指す有望な人材とベンチャー企業が集まり、生態系として世界一発達していることも米国の強みです。つまり米国は世界を巻き込む力に優れているわけです。

残念ながら、日本は自分が生み出したものを世界に広げることに長けていません。イノベーションは生まれているのに、全体の構想力やまわりを巻き込む力が弱くて世界に波及していかないのです。

これは個人レベルでも同じです。日本のビジネスパーソンは、部分部分でイノベーティブなアイデアをいろいろと持っています。ところがそれを「鳥の目」で見てビジネスモテルに昇華させたり、まわりを巻き込んで実行に移していく力に欠けるところがあります。そのあたりを改善できれば、世界での活躍がグッと近づくでしょう。

※本連載は書籍『グローバルエリートの仕事作法』(梅澤高明著)からの抜粋です。

【関連記事】
初音ミクに世界中のファンがつく理由
なぜロジカルシンキングだけでは世界で通用しないのか
シリコンバレーは日本が目指すべき未来か
ジョブズを凌ぐ日本流「いのべーしょん」
ルイ・ヴィトンと無印とカレーの共通点