【竹内】グローバリゼーションとテクノロジーの変化が人口や仕事に影響を与えるということですが、柳井さんはこの変化をどう捉え、どのように対応していこうと考えていますか。

【ファーストリテイリング会長兼社長 柳井 正】我々ビジネスマンにとっては一国一国の市場だったものがグローバルな巨大市場が出現したということだと思います。先進国の人たちだけに与えられていたチャンスが新興国の人々もその恩恵を受けるようになる。中間層が新興国で増え、逆に先進国では減るという現象が起きるということです。

ファーストリテイリング会長兼社長
柳井 正
(やない・ただし)

実際、アジア諸国はすでに驚くべき変貌を遂げつつあります。世界中から莫大な量の資金が流れ込み、新しい産業が勃興し、アイデアとやる気があって努力を惜しまない人や企業に大きなチャンスが与えられています。

我々が扱う服は日本では「洋服」と呼ばれ、アメリカやヨーロッパの影響を受けて発展してきました。日本は1億人あまりの市場ですが、これからは50億人、80億人を対象に「洋服」のビジネスができるようになるということです。今後、マニラ、ジャカルタ、バンコクがパリ、ロンドン、ニューヨーク、東京に匹敵する都市になります。その中で我々はアジア発のグローバル企業をつくりたいと考えています。ずっと昔は中国韓国の文化の影響を受け、欧米の文化を咀嚼しながら日本国内でのビジネスを伸ばし、そしていよいよ世界中で我々のビジネスができる環境になったと捉えています。

【竹内】グローバル化はチャレンジであると同時にチャンスの拡大にも繋がるわけですね。グラットンさんはこれからの企業経営における著書で「レジリエンス」(負荷がかかって変形したものが、元の形状に戻る力、回復力、復元力)の重要性についても触れています。