総合スーパーの衰退とコンビニの台頭

ダイエーが衰退した一番の要因は、地価の上昇を前提に店舗用の土地を購入する仕組みがバブル崩壊で破たんし、不動産価格の下落で担保割れが生じたことです。加えてワンマン経営による、社員のイエスマン化。セントラルバイイングや標準化の名のもとに現場が軽視され、本部が官僚化してしまいました。

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小売業トップシェアの業態が激変

他方で、紳士服では青山商事、カジュアルウェアではユニクロ、家具ではニトリなど、ダイエーより安く品質のいい商品を提供する専門店が台頭。このとき生活者はすでに「安い」だけでは満足せず、付加価値を求めるようになっていました。「よい品をどんどん安く」の概念が、典型的な「安かろう悪かろう」に陥ったダイエーから客離れが加速したのは自明の理でした。かつて百貨店から総合スーパーが客を奪ったように、今度は総合スーパーが専門店に顧客を奪われていったのです。

現在、総合スーパーを抜いて小売業売上高トップに立ったのが、コンビニのセブン-イレブン・ジャパンです。コンビニは大店法の規制で自由に出店できなくなった総合スーパーが注目し、イトーヨーカ堂が米サウスランドと業務提携して、73年にヨークセブン(後のセブン-イレブン)を出店したのが始まり。コンビニ各社は弁当など商品開発力の強化と物流システムの構築、売れ筋商品を発見する情報システムの高度化に取り組み、経営効率を高めていきました。