棚からボタ餅。8月30日の総選挙で初当選を果たした小沢チルドレンは単独比例候補34人を含む総勢143人。民主党への強烈な追い風で“一発逆転”を遂げた。しかしこの国は本当に大丈夫なのか――。
2005年の“小泉劇場”でも83人が棚ボタに与ったが、単純計算で4年間で議員歳費1億2000万円あまりの荒稼ぎ。うち、今回の選挙でも当選を果たしたのはたったの10人。実績らしい実績も残さず消えていった。仮に今後4年間、解散がないとすると、小沢チルドレン143×1億2000万円=171億6000万円がまた空費される可能性がある。
税金からの支出はこれに留まらない。国会議員には月100万円の文書通信交通滞在費が支払われ、JRは全線無料、航空機も無料(月4往復まで)のほか、民間相場からみると格安の議員宿舎(新赤坂の場合3LDKで9.2万円/月。相場は50万円/月ほど)などの議員特権が付与される。合計2000万円を超える秘書3人の給与は国庫負担。すべてを合算すると国会議員1人当たりへの支出は年間1億円を超えるのでは。本をただせばすべてが国民の税金だ。
公示3日前(8月15日)に知人からの誘いで何も考えずに「名簿に名前を載せただけのつもり」の磯谷香代子(43歳・比例東海ブロック41位)など棚ボタの最たるものだろう。風俗ライターにピンク映画出演、果ては出会い系サイトでのバイト経験までもが明るみに出た田中美絵子(33歳・石川二区)。「森林伐採」なるスローガンで森喜朗元総理に挑む姿は確かにマスコミ受けするものだったのだが……。誰が彼ら、彼女らを候補に選び、そして当選させてしまったのか。これらは氷山の一角、またぞろとんでもない事例が出てくるだろう。
さて、学歴である。小選挙区にエントリーされた候補は、東大、早慶出身者が多い。小泉チルドレンと比べても、早慶出身の比率が大きく入れ替わっているぐらいで違いはあまりないようだ。
問題は、2つある。比例区候補と外国大学出身者である。学歴の高低で人物が判断できるとは全く思わない。しかし、小選挙区候補と単独比例区候補で経歴の違いが大きすぎる。マジメに選定をしていないことが明白だ。
外国大学出身者も、実は学歴ロンダリングの可能性を秘めている。東大出身でハーバード大学というのであれば、学歴エリートであることは疑いようもない。しかし、例えばアメリカの地方大学出身となると、非常に怪しい。お金を払いさえすれば、卒業させてくれる大学はいくらでもあるのだ。
民主党幹部による「1日50回の街頭演説をせよ」「君たちの仕事は次の選挙に通ることだ……」という発言。あたかも、選挙活動が政治家としての一番の仕事であるかのような錯覚を覚える。しかし、政治家の一番の職務は、この国をよくすること。政局優先のパワーゲームより、きちんと政策の勉強をしてほしい。特に、若い頃に勉強をせず、いわゆる「低学歴」に甘んじている政治家には、声を大にして言いたい。