これを読んで、「急にSNSをやめると周囲は不審に思うものなのか」「やめるときは理由を説明しないといけないかな」などと思う必要はありません。
どうせ私たちは自分の知らないところで、好き勝手なことを推測されたり、噂されたりしているのです。SNSだから周囲の反応が可視化されてしまうだけ。黙ってフェイドアウトでいいと思いますよ。もし誰かに「どうしたの?」と聞かれても、「ちょっと最近忙しくて」「少し休もうと思って」などと言っておけばいいのです。
SNSって、1回誰かとつながったら、ずっとつながり続けなければならないという強迫観念があるように思います。
これを現実社会に置き換えて考えてみてください。何百人もの人たちと毎日近況を報告し合って、誰かが何かしたことに対して「いいね!」とそのたびに言い続けていたら、暮らしていけないですよね。SNSでの交流を生身の人間に照らし合わせると、無理があることに気がつくでしょう。もっと人間の生理に寄せた使い方をすればいいのではないでしょうか。
もっともフォロワーや友達の数が増えていくのはうれしいものですから、それを失いたくない気持ちもよくわかります。友達が多いのは人望のある証拠という風潮もある。これは私、「1年生になったら」という歌が悪いと思っています(笑)。「ともだちひゃくにんできるかな」っていう、アレです。作者に他意はないのでしょうが、生まれて初めて小学校という社会に出ていくときに植え付けられた「100人の友達と富士山の上でおにぎりを食べるという幻想」が、どれだけ人を苦しめていることか。
友達は100人も要りません。1人いれば十分。SNSに限らず、誰も人を「所有する」ことなんかできないんです。フェイスブック上での友達の数や、ツイッターのフォロワーの数は、あなたの人望を表すものでもありません。そう考えれば、少し楽になれると思いますよ。
小島慶子(こじま・けいこ)
1972年、オーストラリア生まれ。学習院大学卒業後、TBS入社。アナウンサーとしてテレビ、ラジオに出演。2010年、TBSを退社。『コスプレ上手は、仕事上手!』など著書多数。