貯め時・使い時の差は「教育費」

「貯め時」や「使い時」を理解すると、月の収支で一喜一憂するのは、あまり適当でないことが分かります。「貯め時」に比べれば、「使い時」の収支はどうしても悪くなって当然です。

あるいは、本来「貯め時」であろう時期になかなか貯蓄できない、または赤字が続いているとしたら、家計は何らか問題を抱えていることを示唆しています。

相談を受けるファイナンシャルプランナー(FP)側からいわせていただくと、家計簿を拝見するとき、年収や金融資産額のみならず家族構成をうかがうのは、長い人生の中でどの時点にいるのか把握するためであり、さらにいえば「貯め時」「使い時」をおおよそ知る手掛かりにするためでもあります。

▼教育費1000万円はかかる

さて、勘のいい方はすでにお気づきかと思いますが、現役時代の「貯め時」「使い時」を二分するのは「教育費」の存在です。

一般に子供が高校・大学と進学する頃に教育費のピークを迎えます。子供が2~3人いて、そのピークが重なればなおのことです。ここが(2)と(3)の間に位置する「使い時」にあたります。(編集部注:文部科学省の「平成24年度 子供の学習費調査」と日本学生支援機構の「平成24年度 学生生活調査」によると、子どもにかかる教育費は幼稚園から大学まで全部公立で769万円、全部私立なら2205万円)

逆にいえば、DINKSや単身者の家計には、不動産購入をした場合を別にすれば、前述の3つの「貯め時」が明確に存在しません。ざっくりいうと、「リタイア」時を境として、現役時代は長期に渡って「貯め時」であり、リタイアしてはじめて「使い時」がやってくるといった具合です。

つまり、家族構成を伺うことは、「貯め時」と「使い時」の時期がどうやってくるのかを把握する作業でもあるわけです。