イケメンならぬ、イクメンが増殖中である。積極的に育児や家事に参加する“新世代”の父親たち。出世を望めそうにない会社から、家庭に軸足を移した男性が増えた!? という意地悪な見方も一部にあるが……。日本初の「父親学校」を開くNPO法人ファザーリング・ジャパン代表、安藤哲也さんは言う。
「男性が育児参加すると段取り力、問題解決力、コミュニケーション力、時間管理力などが高まる人が多いです」
神戸在住で1歳の娘のいる会社員・芝茂樹さん(33歳)は毎日、食事作りや洗濯などで専業主婦の妻を助ける。もともと料理経験はゼロ。米のとぎ方や野菜の切り方を特訓するなど、イクメンぶりをつづったブログを更新するたびに全国からアクセスが殺到している。
「夜7時半に帰宅するのが日課で、娘をお風呂に入れます。会社を毎日定時に退社するため、仕事の段取りが上手になりました。効率的に働くようになったんです。自宅でも、短時間でやるべきことの優先順位を素早く設定しなければならないので、ゆとりの時間をつくり出すコツも習得しました」と芝さん。コミュニケーション面でも、まだ言葉を話さない乳児に接していることが功を奏して、顧客や得意先などに「伝えよう」「相手の真意を聞き取ろう」という力が向上したそうだ。
「育児はよく『育自』とも言われますがまさにその通り。部下への指示の出し方など、社会人としての成長を自分でも実感できますよ(笑)。また育児をすることで、24時間365日休みのない妻の負担をほんの少し減らせたため、夫婦関係もよりよいものに変わったと感じています」(芝さん)
安藤さんによれば、最近、大企業の部長でも育児に目覚める人が増加中だとか。育児参加で家庭が平和になり、仕事効率も上がれば一石二鳥!?
(撮影=宇佐見利明)