最近よく耳にする「O2Oマーケティング」。だが、それで成果を上げているという声はあまり聞かない。単なる流行語で終わってしまうのだろうか――。「そうではない」という企業が名乗りを上げた。レビューメディア「ZIGSOW(ジグソー)」を運営するzigsowだ。同社代表取締役 CEOの藤縄智春氏に、O2Oマーケティングで成功する秘訣を聞いた。
技術ありきの試みは失敗する
「O2O」とはOnline to Offlineの略で、インターネット上(オンライン)の活動がインターネット外(オフライン)の実店舗での購買に影響を及ぼす、またはオンラインとオフラインの購買活動が連携し合うといった意味を持つ。
2年ほど前からホットなキーワードになっており、O2Oマーケティングに取り組む企業も数多く見られる。だが、成功している会社はほんの一部で、多くの場合、期待したほどの効果を得られていないのが実態だ。
ではなぜ、O2Oマーケティングで成果を得られる企業は少ないのか――。
「O2Oというと、Beacon(ビーコン)などの無線通信技術を活用してスマートフォン(スマホ)で入手できるクーポンを発行したり、顧客に有効な情報発信をするなど、実店舗での購買を喚起する取り組みが多く行われている。だが、一連のプロセスにおける一要素でしかない技術や取組みに焦点を当てるだけでは、顧客のロイヤリティを高めることは難しい。O2Oマーケティングでは、常に顧客とリレーションシップを取り続けられる仕組みがベースには必要であり、Beaconなどの技術や仕掛けありきの施策は失敗の原因となる」
レビューメディア「ZIGSOW」の運営やマーケティングサービスを提供するzigsow代表取締役 CEOの藤縄智春氏はこう指摘する。
なお、Beaconとは近距離無線通信技術を使ってスマートフォンの位置情報を特定し、ロケーションに合わせて必要な情報を配信する仕組みのことをいう。
常に顧客とリレーションシップを取り続ける方法として、多くの企業が考えるのが「オウンドメディア(自社所有・運用メディア)」の構築である。だが、これにも課題がある。
「多くの企業は、オウンドメディアのコンテンツを毎日更新することがどれほど大変なことかを知らずに始めてしまう。しかも、ほかに業務を持つスタッフが片手間にメディアを運営しているケースが多く、その場合、日々、コンテンツを更新することはさらに難しくなる。そして、コンテンツが更新されないメディアには顧客が訪れず自然消滅するという道を歩んでしまう」(藤縄氏)
「その通り!」と、うなずく読者は少なくないだろう。では、O2Oマーケティングを成功させるには一体どうすればいいのだろうか。