子供2人分の大卒までの教育費を払える

(2)住宅ローンの繰上返済

妻の月5万円のパート収入を、全額住宅ローンの繰上返済にあてるとしましょう。

「繰上返済」とは、毎回の決まった返済とは別に、元金を前倒しで返していくことをいいます。繰上返済した額に相応する利息の支払いがなくなることで、住宅ローンの総返済額を落とす効果があるのです。

住宅ローンの前提は、借入額2500万円、適用利率2%(全期間固定)、借入期間30年としましょう(月返済額9万2405円、総返済額3326万5753円、ボーナス返済なし)。

ここに年1回60万円の繰上返済を実行していきます。

仮に10年続けると(つまり、約600万円を繰上返済する)、支払わなくていい利息総額は約303万円にもなります。返済期間は8年ほど縮まる計算です。

さらに、続けて15年間繰上返済を続ければ(約900万円の繰上返済)、利息軽減効果は約350万円にもなります。このとき縮まった返済期間は約11年。当初、30年で組んだ住宅ローンは、20年もかからず返せるほどに短くなるのです。

変動金利で借りていればそこまで利息軽減効果はないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、繰上返済で元金を減らすことによって、将来の金利上昇リスクの影響を軽減する効果はあります。

また、いくら借入金利が低いとはいえ、大手銀行の普通預金金利が年0.02%の現状では運用して殖やそうと思ったら、相応にリスクを取らなければ実現できない水準です。

借入金利が低いほど繰上返済による利息軽減効果は限定的になるかもしれませんが、家計に恩恵があることには変わりありません。

他にもこんな考え方ができます。

(3)子供の教育費

人生の3大資金の1つである、教育資金(他は住宅資金、老後資金)。

家計運営で頭を悩ませる大きな支出です。これも妻のパート収入と照らし合わせて考えみましょう。

あくまで平均ですが、文部科学省の「平成24年度子供の学習費調査」等から幼稚園から大学までの教育費をみてみると、

幼稚園(私立)・小学校(公立)・中学校(公立)・高校(私立)・大学(4年制私立文系)
⇒約1151万円

これには「学校外教育費」といって、いわゆる塾や習い事等の費用は含まれています。

これであれば、(1)で計算した妻のパート収入(1620万円)で子供1人分の教育費は十分に捻出できる数値です。

仮に幼稚園から大学までオール公立とすると、教育費の合計は約742万円。2倍しても1484万円。パート収入で2人分の教育費カバーが見えてきます。

ちなみに、オール私立であれば約2076万円。さきほどの前提だとさすがにパート収入だけでは足りません。でも、65歳までパート期間をのばせば1920万円ですから、だいぶ近づけます。