中小企業診断士は応用がきく資格
「弁護士や公認会計士など超難関資格は勉強に集中しても合格するとは限りません。資格はむしろ自分自身のスキルアップと考え、ビジネスで必要な資格や検定に挑むことを勧めます」とスキルアップやスペシャリストを目指した資格取得がいいと話すのは資格コンサルタントの末木紳也氏だ。
まず一般企業のサラリーマンとして就職するのに最も役に立つ資格として、ユーキャン講座企画部長の初野正幸氏のいち推しはMOS検定だ。「マイクロソフト オフィス スペシャリストのことで、マイクロソフト製品の利用スキルを証明する世界共通の資格です。学生は論文などでワードは使いますが、エクセルはあまり使いません。会社では日常的に使い、業務改善にも役立ちます。取得すればどの企業に就職しても非常に役立ちます」
末木氏が取得を勧めるのはベーシックな3つの資格だ。
「簿記検定2級を取れば、自分の会社の財務諸表が一通り読めて、経営状態もある程度把握することができます。転職にも有効活用できます。ビジネス実務法務検定2級は、問題があれば解決するコンプライアンス(法令遵守)能力が鍛えられるため、社内法律家やトラブル処理のエキスパートとして、社内で重宝される人材になります。販売士検定2級は多様化する消費者ニーズやマーケティングの基礎能力が身につくため、小売業に携わる人にはうってつけの資格です。この資格を持っていると百貨店やスーパーマーケット、専門店などの小売業でも高く評価してもらえます。これらの公的資格はどの業種に就いても通用します」
そして、末木氏と初野氏が口を揃えて勧めるのが中小企業診断士だ。「マーケティングやマネージメントなど学ぶ領域が広く、ビジネスの総合力がつきます。日本版MBAともいわれ、会社勤めでも、経営コンサルタントとして独立する際にも役立ちます」(初野氏)という、どんな職種にも応用がきくビジネス系の資格だ。
末木氏は有望資格として「知的財産管理技能検定とITパスポートは押さえておくといい」と強調する。
「会社が持つ知的財産に関するライセンスのスペシャリストで、今後は商標登録や実用新案などのライセンス事業に携わる企業が増えていくはずですから、持っていると重宝がられます」
ITパスポートは、IT化社会で必須のパソコン技術などIT知識を養い、情報技術の活用にはうってつけの資格。
このほかにも資格は数多くある。取れば必ず仕事がくるわけではないが、将来を見すえた有効活用が大事だ。