では面接ではどのようにして学生を見極めているのか。宮崎元専務は「学生時代に運動も含めて、あることに一途に取り組んできたとか、様々な経験をした人をできるだけ採るようにしている」と指摘する。
前述した人材要件をベースに学生時代に目指したもの、それをどのように克服してきたのかという視点からその人物を見極めている。一般的に学生時代に達成した結果だけをアピールする学生が多いが、それだけでは不十分だ。採用担当者が重視しているのは、結果に行き着くまでのプロセスであり、どのように工夫して目的を達成したのかを探る。
知識の習得や語学が優れているというだけではない。物事の本質まで掘り下げて考え抜く経験を積んだ学生を求めている。それは技術系も同様だ。研究内容の背景と目的をしっかり確認し、将来どのように研究を生かしていきたいのか、幅広い視点で考えられる学生かどうかを見極める。とくに「研究を進めていくうえで困難な課題にぶつかり、どのように工夫して乗り越えたのか」という苦労話を聞くようにしているという。
トヨタは11年度から先輩社員によるリクルーター活動を復活させた。もちろん、リクルーターが面接・選考することはなく、目的はものづくりを重視するトヨタの特徴を改めて学生に知ってもらうことにある。
(ライヴ・アート=図版作成)