【leverage point】床下の傷みを土台から補強、床暖房も

また「私の場合は必ず『足元』(基礎、土台など)を点検、補強します。足元をきちんと直さないとリフォームしたことになりませんから」という瀬野さん。山が迫る北側の湿気がひどく、床下が傷んでいたO邸では1階の床を剥がし、基礎を周りから補強して土台や間柱などを必要に応じて取り替えています。防湿工事をやり直し、北側を中心に断熱材を入れ替えて、床暖房も施しました。

位置を変えて対面式にしたキッチンとダイニングは階段室から落ちる自然光で明るく暖かく、「リフォーム前と全然違って家事が嫌でなくなった」(O夫人)空間に満足されているというご夫妻。お孫さんたちも泊まりに来るようになり、まさに家が再生され、新しいいのちが吹き込まれたよう。

30年ほど前の木造住宅は、似たような問題に直面している建物が少なくないはずですが、O邸は、部分的リフォームでここまで快適、安心できる住まいに変えられるという好例を示したといえるでしょう。

1/リフォーム完成直後、南側の和室(茶の間)からダイニングキッチン方向を見る。2階の真ん中の床を一部減らすかたちで、国産無垢材を使った吹き抜けの階段空間に変更。2階から1階へ自然光が落ち、暗く湿気が多かった北側は明るく風が抜けるようになった。

2/東北地方ということもあり、玄関からの冷気がそのまま室内へ入らないようホールは風除室として間仕切り。ガラスを使って光は通している。

3/2階、階段を上がったところ。木のスノコ状の床で、隙間からも自然光が1階へとこぼれ落ちるよう工夫されている。息子さん家族が泊まることもできる部屋の間仕切りは引き戸で、普段は開放されている。

4/ダイニングからキッチン方向を見る。ブルーの照明の傘は、ステンドグラス制作が趣味の奥様の作品。キッチンは対面式に替わり、ダイニングとともに床、壁の断熱、床暖房が施された。これによって寒い冬の料理や食事も楽しく快適に。

(間取り図作成=長岡伸行)