床を抜いて2階にゲストルーム、吹き抜けから自然光
廊下を挟んで真ん中から南と北に分断されていた戸建て住宅の1階。リフォーム前のO邸はそんな間取りで、底冷えが厳しい冬、北側のキッチンやダイニングは寒くていられない状態でした。
半面、南側の茶の間は明るくてぽかぽかと暖かく、快適。南下がりの傾斜地に建ち、北に山が迫る立地のため、廊下を挟んだ北側は採光や通風が不十分で、床下には湿気が溜まる――というアンバランスな条件が揃ってしまっていました。
冬、家事をやる気になる家に変えられるなら、リフォームをお願いしたい。O夫人はそう考え、建築家の瀬野和広さんに相談したところ、図面のようなプランを提案してもらったのです。
これまで何度か増改築を重ね、浴室回りなどは直したばかりだったため、家全体を直すのでなく部分的なリフォームで最大限に問題を解決したい。そうした条件の中、瀬野さんはまず第一に1階を明るく暖かくし、家事動線がスムーズになるようにと考えました。具体的には2階の真ん中の床を一部抜き、階段を利用した吹き抜けを設けて1階へ光を落とすことに。
外形は変わっていませんが、床面積を減らしているため、結果的に減築したことになります。2人の息子さんたちも独立し、夫婦2人だけの生活となった今は、この面積で十分です。
加えて、息子さんたちが巣立った後は物置とOさんの趣味の部屋となり、荷物でいっぱいだった2階もリフォーム。息子さんたち家族が来たときに泊まれるゲストルームとして、有効に使える空間に生まれ変わりました。