解散に大義はあるか
確かに、いま総選挙をすると600億円の費用がかかる。しかし、すでに消費税増税が法律で決まっており、それを変更するうえで国民に改めて説明し、信を問うという大義は受け入れられるのではないだろうか。消費税増税の延期は、国際社会との約束もある大きな問題である。これまでの衆議院解散は、そんなに大義名分などない場合がほとんどだ。
11月14日現在までに収集した情報をもとに選挙予測をすると、自民党は300議席超、公明党は31~33議席を獲得する見込みだ。この数字に驚く人も多いが、与党で現有議席を上回るのは確実な情勢だ。
アベノミクス批判本が売れ行きを伸ばしているのは事実だ。政権発足から2年、最近のスキャンダル報道で以前ほどの高支持率ではなくなった安倍政権を国民はどう評価しているのだろうか。ここ10年続いたデフレ経済に対して、「主流派」と思しき学者の政策ではまったく歯が立たなかった。デフレ経済を脱却させることができなかった学者が、いまさらアベノミクスを批判するなんてちゃんちゃらおかしいというのが率直な気持ちだ。浜田宏一イェール大学名誉教授はそんな主流派からすれば「異端児」だった。そんな異端児だった浜田教授を見出したのが安倍晋三総理大臣だったのだ。
2013年に135兆だった資金供給量は270兆円にまでなった。世の中に流れるお金の量を増やし、物価を上げることで、企業の業績が上がり、設備投資額、賃金の上昇につながり、さらなる企業の売り上げが上がるという好循環シナリオに、日本はいま順調に進んでいる。
さらに安倍総理は、眠っている資産を掘り起こすことによって実体経済を刺激させることで、アベノミクスを発展させようとしている。
一つは、金融資産が2000兆円あるうちGPIFの活用だ。運用資産130兆円のうち、30兆円以上が国内株式に投資される見込みだ。強烈なインパクトを与えるだろうし、アベノミクスの本番はこれからとみて間違いない。