「軽装備」が武器だがいまでは6割が温泉化
国道を車で走っていると「スーパー銭湯」「日帰り温泉」といった看板をずいぶん目にする。いつの間にこれほど増えたのだろうか。
「スーパー銭湯が急速に増えたのは1990年代後半から。2000年代前半にピークを迎え、これまでに全国で約770施設が開業した」
そう語るのはレジャー産業の市場調査などを行う綜合ユニコム企画調査部の岡庭峰夫課長だ。スーパー銭湯は「健康ランド」に比べると飲食や娯楽設備は簡素だが、自動券売機の設置やセルフサービスの導入で省力化されているうえ、高い利用回転数による大量集客が見込める業態だ。初期投資を早期に回収できる「軽装備・低投資」のビジネスモデルとして店舗が急増した。
「健康ランドの入館料が2000円程度だったのに対し、スーパー銭湯は500円程度で参入してきた。これは銭湯料金に100円程度上乗せした金額を基準にしたから。原型は80年代半ばには現れていたものの、『安・近・短』のニーズにマッチして一気に脚光を浴びた。しかも参入障壁が比較的低いので、遊休地の活用ビジネスとしてブームになったようだ」(岡庭氏)
スーパー銭湯が初期投資を回収するためには1日1000人の来客が目安となる。客単価800円で1000人が来店すると年間売り上げが約3億円で、利益は売り上げの3割弱の約8000万円。敷地面積1500坪、延床面積400坪程度だと総投資額は約4億円となるが、約5年で初期投資を回収できる計算だ。
幹線道路沿いの土地活用としては、ほかにもゴルフ練習場やフィットネスクラブ、チェーンストアを含めた複合開発などが代表的だが、5年以内という早期の回収は難しいのが実態。そうなるとスーパー銭湯は魅力的に映った。