6割が「給料が下がってもいい」

松本洋介 LiB代表取締役

しかし、女性にはもうひとつ大切なものがあります。

「アンケートをとると、6割の女性がワークライフバランスを保つことができる仕事なら、転職して給与が下がってもいいと回答しています」

これはハイキャリア女性に特化した転職サイト「LiB」を立ち上げた松本洋介さんに聞いた話です。

「お金か時間」……女性にとっては同等の価値があるのです。

「LiB」は年収400万円以上のハイキャリア女性のための転職マッチングサイトですが、「新しい!」と思ったのは、登録する際に「働き方」を希望できること。主婦パートなら「週3回」などの働き方を選ぶことができますが、フルタイムのハイキャリア女性は、給与や地位などの条件は選べても、「24時間働くのは当たり前でしょ?」という前提でした。

「子育てに適さない職場環境でも、出産してからの転職活動はきつい。小さな子どもがいると雇ってもらえない」という嘆きを何回もききました。

しかし「LiB」では「ワークライフバランス(WLB)型」という登録もできます。そして登録女性5500名のうち6割が、WLB型にも登録しているということです。

リクルート、女性向けマーケティングの会社トレンダーズ取締役を経験した松本さんは「女性ばかりに囲まれて働いてきた」と言います。

多くの女性たち、それも一流大学を出た優秀な女性たちが出産を機に、両立に悩み「バリキャリか育児か」の二者択一を迫られ、キャリアを中断したり、またはマミートラック(ゆるキャリ)に入り、意欲をなくしていくのをみてきました。

結婚や出産、子育てなどのライフイベントを、しなやかに乗り切る働き方はないのだろうか? そんな疑問がビジネスチャンスとなりました。

「LiBに登録した161人にアンケートをとったところ、5割が将来経営幹部・管理職になりたいと答えていた。しかし、8割が『出産後は在宅、時短で仕事がしたい』とも答えています」(松本さん)