「骨」を売りにしたヨーグルトはなぜ売れたか
仏・ダノングループのグローバル商品であるヨーグルト「ダノン デンシア」が日本に初上陸を果たしたときも、インサイトの壁に直面した。加齢とともに低下する「骨密度」に着目したのが特徴の商品で、ターゲットは50代女性。当初は「骨がもろくなる不安に応える」をコンセプトとする予定だった。
しかし、2011年の発売に先駆けて意識調査を実施したところ、日本の50代女性の関心は美容・アンチエイジングにあり、骨や骨密度にはまったく関心がないことがわかる。日本を席巻しつつあった美魔女ブームを裏付けるような結果だった。そこでダノン・ジャパンは美容・アンチエイジングを軸に据え、「ダノン デンシア骨活プロジェクト」をはじめとするPR・広告戦略を展開する。発売からわずか3カ月で売り上げ目標を達成し、現在も日本におけるデンシアの売り上げは6カ国中1位だという。
すべての行動には理由があり、その理由に基づくアプローチをすれば、人は動く。それは上司と部下の関係でも同じことだ。例えば、問題行動のある部下がいたら、理由を聞いてみよう。1回質問しただけで「理解できない」とわかったつもりになるのは早計。質問を重ね、本音をあぶりだすのだ。本当の理由は本人ですら気づいていないケースも多々ある。掘り下げていくなかで本当に解決しなければいけない課題が見つかるかもしれない。心の奥底に秘められた本音にたどり着いたとき、人を動かす準備が整うのだ。
(構成=島影真奈美)