ホテルやコンビニにも「臭い!」とクレーム
ミキさん(38歳・流通事務)は、人一倍臭いに敏感。周囲が臭わない臭いも察知する“警察犬”レベルの嗅覚の持ち主だ。
「体臭や口臭はもちろん、芳香もダメ。無臭しか受け付けません。でも世の中、いたる所で妙な臭いが立ち込めているんですよね」
まず、宿泊したホテルで「部屋が排水溝の臭いがしたので、即部屋を替えてもらった」のは序の口。最近引っ越した新築マンションでは、「食洗機の設置にずれがあったようで、そこから排水溝の臭いが。付け替えを頼んでからは無臭になったけれど、この臭いは夫にも担当者にも分かってもらえず、また『あの○○号室の奥さんが騒ぎ立てている』と管理人に思われるのが怖かった」と打ち明ける。
数年前、某コンビニがチーズナゲットを販売したときは、「店内中がチーズ臭くて入店できなくなった。営業に響くだろうから今すぐ販売中止すべきだ!」とクレームをつけた実績もあるミキさん。当然、口臭に対しても容赦ない。
「社員旅行で、歯槽膿漏っぽい口臭男とバスで隣席になるのを避けたくて、チケットの手配役を買って出ました。ところが何かの手違いで隣同士に。耐えられず、『歯が綺麗な男のほうがモテるよ』とアドバイス。すると彼は本当に歯医者に行き、1万円前後もするパナソニック製の噴射型口腔洗浄器を買ったと報告してくれました」
と、胸をなでおろすミキさん。ちなみに夫にも口臭を注意済み。夫はよほど気にしたのか、密かに洗口液(モンダミン)を購入し、歯磨き+モンダミンのW洗浄を続けていたとのこと。ただミキさんが解せないのは、「歯槽膿漏男の隣の席の同僚も、夫の周囲も、なぜか彼らの口臭は感じないと証言していること」だという。
他にも臭いに関する悩みはある。
「職場の机にアロマのスティック型ディヒューザーを置き、そのオイルを床のじゅうたんにこぼした同僚がいました。じゅうたんに染み付いた高濃度の香りで3日間頭痛薬を飲むハメになり、同僚にメールで文句を言いました。以来、ギクシャクした関係に……。今回も他の同僚は臭いが気にならなかったようで、私のほうが神経質な人みたいで肩身が狭いです」
などなど。本人にしてみれば、臭いに敏感過ぎるがゆえの苦痛と、誰にも理解されない孤独感を長年抱えてきたわけで、その辛さは深刻なのである。