アベノミクスの“第三の矢”に組み込まれたクラウドファンディング。小口の資金を大勢の人から集める新しい資金調達のツールを使って成功する企業も現れ始めた。
政治家向けのサービスも誕生
そのレディーフォーと僅差で2番手につけているのが、ハイパーインターネッツが運営する「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」。ECサイトの運営などを行っていた石田光平社長が、やはりキックスターターの隆盛ぶりに注目して11年1月に同社を設立。同年6月からプラットフォームを立ち上げた。
「クリエーティブなジャンルのプロジェクトに重きを置いています。ただし、そのジャンルは特に問いません」と広報担当の矢崎海さんがいうように、プロジェクトには、ご当地アイドルによる“街ソング”のプロモーションビデオや、築60年の古民家を再生して家具店の開業を目指すものなどが並ぶ。
これまでアップしたプロジェクトの数は700件以上で、「目標金額に達成したプロジェクトの割合は5~6割」(矢崎さん)というから、400件前後のプロジェクトが資金調達に成功している計算だ。そこで支援を受けた総額は約3億2000万円で、支援の手を差し伸べた人は3万9000人以上を数えるまでになっている。
一方、数ある後発組のなかで特に注目されているのが、佐藤大吾社長が率いるJGマーケティングが13年6月にスタートさせた「ShootingStar(シューティングスター)」だ。プラットフォームを見ていくと、今年4月時点で達成している案件は50件で、調達した資金は約8700万円に及び、その猛追ぶりが際立っている。
「シューティングスターの特徴はNPO、ビジネス、映画、出版などありとあらゆる分野のプロジェクトを網羅する総合的な購入型クラウドのプラットフォームであることです」と語る佐藤社長は、今年3月から国会議員や地方議員による資金集めが可能なサービスの提供を開始した。あくまでも著作本や食事会などのモノやサービスと引き換えの“販売”なので、政治献金や寄付には当たらないということで、すでに複数の議員が活用し始めており、各方面から注目されている。