目指せ医学部! だけど、一口でお医者さんといっても診療科によって事情もさまざま。どんな仕事なのか、どんな子に向いているのか。

一番普通の「お医者さん」。可能性もいっぱい

内科は古代から医学の基礎になっている分野で、体の病気の診断と薬物療法を中心に手術以外の治療を行う。

外科と同じように、臓器や病気によって、一般内科、心臓病を担当する循環器内科、肺や気管支などをみる呼吸器内科、消化器内科、脳と神経の病気や認知症などを扱う神経内科、腎臓内科、糖尿病内科、血液内科と専門が分かれている。すべて合わせると、約30万人の現役医師の3分の1は内科医だ。

『白い巨塔』で外科医の財前五郎と対峙する里見脩二は、温厚で出世欲の乏しい内科医として描かれている。「人数が一番多い科であることからもわかるように、性格的にはいろいろな人がいるのが内科です。一口に内科といっても、診療内容はさまざま。薬による治療だけではなく、循環器内科の冠動脈カテーテル治療や消化器内科の内視鏡治療など外科手術に近い積極的な治療ができる分野も出てきています。そういう分野では、外科と同じようにどちらかというと体育会系の性格の人が多い傾向があります」

そう話すのは、医師のコミュニティーサイトを運営するメドピア社長で現役の内科医でもある石見陽氏。石見氏の本来の専門は循環器内科。心筋梗塞で倒れたら心臓血管外科医が緊急手術を行うイメージがあるが、実際には、冠動脈カテーテル治療を行い、詰まった血管を再開通させるのは循環器内科医の役目だ。冠動脈カテーテル治療は、狭心症や心筋梗塞では主流になっている治療法。太ももやひじから血管の中に小さな風船のついたカテーテルと呼ばれる細い管を通し、狭くなったり詰まったりしている冠動脈を広げる。

消化器内科医による内視鏡治療とは、超早期の胃がん、食道がん、大腸がんなどに対する治療法だ。口や肛門から小型カメラと器具のついた内視鏡を入れ、体の中からがんを切除したり焼き切ったりする。治療機器の進歩で、内科医も薬以外の武器を手にしているわけだ。