「トヨタショック」を乗り越え、トヨタ自動車は業績を回復させ、復活してきた。果たして、このトヨタの復活は本物なのか。気鋭のジャーナリストが徹底検証する。

トヨタショックからDNA復活の道のり

トヨタ自動車は13年11月6日、2014年3月期決算の通期業績で売上高が前期比13.3%増の25兆円、本業の儲けを示す営業利益が66.6%増の2兆2000億円、当期純利益が73.6%増の1兆6700億円になる見通しだと発表した。

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トヨタ自動車の連結業績

対外的に公表したこの数値は、実はかなり堅い見通しである。あるトヨタ幹部は「営業利益は08年3月期の過去最高益(2兆4372億円)を更新するのは間違いないだろう」と見る。トヨタの収益力は08年9月のリーマンショック前に戻りつつあると言ってもいいだろう。

同時に発表した確定値の14年3月期中間決算も当然ながら好業績だった。売上高は前年同期比14.9%増の12兆5374億円、営業利益は81.0%増の1兆2554億円、当期純利益は82.5%増の1兆6億円だ。営業利益率も10%の大台に乗り、ホンダ(6.2%)や日産自動車(5.1%)を大きく引き離した。

今回のトヨタ決算の大きな特徴は、グローバルでの販売台数は落ちたのに売上高と利益がともに大幅増になった点にある。トラック専業の4社を除く日本の自動車メーカー7社(トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、マツダ、富士重工業、三菱自動車)の中で、連結販売台数が減っても増益となったのはトヨタだけだ。

そのトヨタの販売台数は、1.1%マイナスの約447万台で、エコカー減税の反動で日本、経済減速の影響で東南アジアがそれぞれ落ち込んだものの、高価な車が売れる北米で販売を増やしたことで売上高を伸ばした。営業利益については地域別利益で日本が過去最高となる前期比3.3倍の8300億円を記録した点を特筆すべきだろう。増益分のほとんどは国内で稼ぎ出していることになる。3年前までは日本は営業赤字だったのに、急激に盛り返した。