時代を超えて私たちの胸を打つ、哲学者たちの名言の数々。大ベストセラー『超訳 ニーチェの言葉』の著者が厳選、“超訳”してお届けする。

愛からなされる
ことはいつも
善悪の判断の
向こう側にある。
●ニーチェ『善悪の彼岸』

実は私たちは善悪の基準というものを持っていない。善悪と言いながら、ほとんどの場合は自分の損得や欲得で判断している。だからしばしば自分に都合のいいものが善で、都合の悪いものは悪とみなされる。

一方で宗教的な善悪や社会の伝統的な善悪といったものが私たちの生活を律している。しかし、それは善悪の一つの基準であって、それが本当に正しいのかどうかはわからない。何が正しくて、何が正しくないか、などというのは時代や環境によっていかようにでも変わるからである。