坂井克行(7人制ラグビー日本代表主将)
躍進を続ける7人制ラグビー日本代表の主将を務める。いつもからだを張る。チームメイトからの信頼は絶大である。
先のワールドシリーズの東京セブンズ(22、23日)では格上のサモアを倒し、11位タイと健闘した。アルゼンチンと引き分け、ケニア、ウェールズには惜敗した。
「チーム力が上がっているとの実感があります。負けた試合も接戦でした。トップクラスのチームと十分戦える自信をつかむことができました」
7人制ラグビーは2016年リオデジャネイロ五輪から正式競技になったことで、俄然、脚光を浴びるようになった。目標はもちろん、五輪メダル。その“五輪ロード”を見据えた場合、28日からの香港セブンズのワールドシリーズ・コア(中核)チーム昇格決定戦がとても大きなポイントとなる。
1位となってコアチームになれば、ワールドシリーズの全試合に出場できるからである。いわば『経験』を積むことができる。
「ことしの最大のターゲットです。そこで勝つためには、選手間のコミュニケーションというか、“あ・うん”の呼吸、信頼感が大事だと思います」
7人制ラグビーは、15人制ラグビーに比べ選手数が少ない。マイクロバスの移動はもちろん、食事やコーヒーブレイクなど、一緒に行動するケースが多くなる。チームワークはマストである。
「何をするにも一緒です。仲がいい。バスの中では音楽をがんがん流し、みんなで盛り上がって移動します」
三重県四日市市出身。中学までサッカー選手だったが、四日市農芸高校からラグビーを始めた。俊足でキックも得意。高校3年のとき、全国高校ラグビー大会(東大阪市・花園)の坂出工高戦(香川)にて1人で1試合60得点(6トライ、15ゴール)をマークした。
「当時の新聞記者には、“たぶん最多得点記録だよ”と言われました。もう人生で、そんなにたくさん得点することないですね」
早大時代、ビッグゲームの前夜のミーティングでは、決意の寄せ書きにはいつも、『全力』と書いていた。豊田自動織機に進んだ今も、この二文字をモットーとする。
「何事も全力でやる。一生懸命にからだを張る。とくに今年は結果を残さないといけない。香港でも優勝するしかありません」
愛称が「かっちゃん」。休日は「ガーデニング」をして静かに過ごす。自身の境遇に最善を尽くす25歳。全力タックル、全力ダッシュで、きょうもチームの先頭に立つ。