そして中・高と大学のどちらにもいえることだが、特待を当てにして資金計画を立てるのは危険だ。「学業成績が水準以下になると、特待を打ち切る大学もあるので要注意です」と言うのは石渡氏。安田氏も「在学中に何が起こるかわかりませんから、『ちゃんと学費は払えるけれど、特待をもらえてラッキー』ぐらいの感じがいいのではと思います。万一特待が受けられなくなった結果、退学を余儀なくされたら、子供へのダメージは計り知れません」と言う。

いい学力があれば、何十万~何百万円もの教育費を浮かせられる特待生制度。しっかり研究し、賢く活用したい。

【特待生制度を設けている大学の例】
■国立大学法人東京学芸大学423万円(4年間合計)
教職への強い意欲があるが経済的に苦しい(世帯年収がおおむね300万円以下)学生に、教職特待生制度を用意。入学料と在学中の授業料、及び学生寮費を免除するとともに、年40万円の教職奨学金を貸与。卒業後正教員として4年働くと、返還が免除される。

■神奈川大学768万円(文系、4年間合計)
一般入試に先立って行われる給費生試験で合格すると、入学金・委託徴収金(計33万円)を除く初年度納入金と、4年間の学費を免除。さらに自宅外通学者に対しては、年額60万円の生活援助金を給付する。定員は全学部合計で100人、繰り上げ合格はなし。

■共愛学園前橋国際大学61.2万円(資格特待生)
資格特待生制度の先駆け。実用英語技能検定2級、またはTOEIC500以上などの英語力、情報処理技術者または日商簿記検定2級の資格を有する新入生は、初年度の授業料が全額免除に。このほか、センター試験利用入試の成績優秀者向けの「130周年記念特別特待」も。

■法政大学入学時特別奨学金「開かれた法政21」107.1万円(理工学部ほか)
個別日程入試の学部別成績上位者、一斉入試での首都圏を除く道府県別成績上位者のうち、実際に入学した新入生に、初年度の授業料全額に相当する奨学金を給付。合計の採用枠は500人近い。申請は不要、採用者には合格発表時に通知。

■明治大学特別給費奨学金310.4万円
一般選抜入試、センター試験利用入試、全学部統一入試の全合格者から、成績上位70人に、4年間の授業料全額に相当する奨学金を給付。申請は不要で、採用者には合格発表時に通知する。毎年の継続審査があり、他学部への転部や成績不振などの場合は給付廃止に。

■日本医科大学247万円
入学試験の成績上位30人のうち、実際に入学した学生を特待生に。1年次の授業料247万円が、全額免除される。医歯薬系私立大学ではほかにも、順天堂大学医学部や東京慈恵会医科大学、日本歯科大学や昭和薬科大学などが、特待生制度を設けている。

※記事中のデータは、2014年2月末現在で入手できる最新情報に基づいています。

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