ひとりご飯のときは、初めての店に行く

人気テレビドラマ『孤独のグルメ』は、放送作家の私から見ても、とてもよくできている番組で、ひとり飯の願望をうまくついているなあ、と感心します。

ひとりで外食をする際に、自分の目と勘と舌だけを基準にして食事を楽しむ……。そういう冒険は、初老の生きがいにもつながります。

小山薫堂『初老の作法 老いるを楽しむ50のアイデア』(プレジデント社)
小山薫堂『初老の作法 老いるを楽しむ50のアイデア』(プレジデント社)

私は、前述のように、自分が会食の席をつくるときには、初めての店は避けるようにしていますが、ひとりでご飯を食べにいくときには、なるべく初めてのお店に行って、気に入ったお店が見つかると、そこの料理人と仲良くなるのが好きです。

先日も、大阪に行ったときに「何を食べようかな」と、泊まっていたホテルの近くのお店を検索したら、「元気」という天ぷら屋さんを見つけました。これが大当たりでした。

ちなみに、私がお店を検索する場合は、だいたい食べログを見ることが多いのですが、食べログの点数はあまり気にしないようにしています。

では、まず何をチェックするか――それはメニューの画像です。メニューの書き方や並びで、「この店は日々食材に応じて料理を変えているな」とか、「ずっと同じものを出し続けているのかな」などと、だいたいの感じがつかめるからです。

ひとつの基準として、メニューが印刷されているお店には、あまり行こうと思いません。達筆な手書きのメニューがあったり、日替わりの黒板があるようなところに興味が湧きます。

また、書き込みをしている人で、私と食の好みが合いそうな人が褒めているところに行くこともあります。それが「元気」という天ぷら屋さんだったわけです。

気に入ったお店は翌日もう一度行く

このお店は若い店主がひとりでやっていて、天ぷら以外にも居酒屋メニューなどがありました。しかも、彼は博多で修業していたらしく、もつ鍋があって、最後はラーメンで締められるというお得感のあるお店でした。

このメニューを見た私は、最初におつまみを頼んで、天ぷらはお好みを少しだけ食べて、もつ鍋まで食べてしまいました。そして、ワインをボトルで1本頼んだのですが、ひとりでは飲みきれないから、店主にもちょっとお裾分けしました。

こういうときは、料理人がお酒好きなら一緒に飲みながら話をする、というのが私の理想です。お酒をきっかけに、料理人と仲良くなるのが自分なりの「孤独のグルメ」の作法のひとつだからです。

「これだ!」と、気に入ったお店を見つけることができたら、忘れられないうちにもう1回行くことも、心がけています。それも間を置かずに行くのがいいですね。翌日また行ければベストでしょう。「昨日も来ておいしかったから今日も来ちゃいました」なんて言えば、料理人もきっと喜んでくれると思うからです。