世界大不況の引き金を引いたリーマン・ショックから1年が経った。沈没する企業が続出する一方、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス など金融猛禽類たちは即、復活を果たしている。両者を分けたものは何だったのか? 国際経済小説の第一人者が、その内実をレポートする──。

勝ち組の代表、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO。資料を読み込む能力が卓抜である。(写真=AP Images、PANA)
ダイモンはまた、ウォール街の投資銀行にありがちな、複雑な金融技術を駆使できる自分たちが「マスター・オブ・ユニバース(世界の支配者)」であるという奢りを排し、銀行業は単に一つのビジネスの形態にすぎず、顧客の望む物を提供し、会社の状態をきちんとバランスシートに反映させなくてはならないという考え方を徹底した。
2006年の初頭から住宅ローン市場に影を差すデータがぽつぽつ現れ始めると、ダイモンは、不動産証券化部門のトップや審査部門と議論を重ねた末、住宅ローンの貸し出し基準を厳しくし、融資額を減らすよう命じた。
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