軍と国防省トップは“犬猿の仲”という指摘も

ウクライナ侵攻が難航する中、暴力装置内の権力闘争説も伝えられる。

ロシアの軍事ブロガーによれば、軍制服組トップのゲラシモフ参謀総長と背広組トップのベロウソフ国防相は犬猿の仲で、国防相が頻繁に軍事作戦を大統領に報告することに、参謀総長が激怒しているという。

国防相は逆に、参謀総長が大統領に戦況を大幅に水増しして報告していることに激怒しているという。ベロウソフ国防相は経済学者出身で、大統領の信頼が厚く、首相に転出するとの憶測もある。

大統領のボディーガード出身で強硬派のゾロトフ国家親衛隊長官が次期国防相ポストを目指して猟官運動をしているとの未確認情報もある。

また、情報分野で失態が続いたボルトニコフ連邦保安庁(FSB)長官が更迭され、後任にコロリョフ第一副長官が起用されるとの憶測も独立系メディアで報じられている。この2年、側近らが次々に検挙されたショイグ安保会議書記(前国防相)に対しても捜査が進み、刑事事件の被疑者になる可能性があるという。

ロシア安全保障会議書記のセルゲイ・ショイグ氏
ロシア安全保障会議書記のセルゲイ・ショイグ氏(写真=Kremlin.ru/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons)

開戦後初の下院選が今後最大の焦点に

8月1日、モスクワ中心部の高級レストランでのチャイコ航空宇宙軍総司令官の誕生日パーティーで爆弾が爆発、5人が死亡、20人以上が負傷した事件は、軍部や情報機関を震撼させた。モスクワではロシア軍高官が爆殺される事件が続発しており、軍内部にウクライナへの協力者がいるとの憶測が出ている。

こうした中で、9月18から20日にかけて実施される、開戦後初の下院選が注目される。

ロシアの選挙は毎度「官製無風選挙」ながら、今回は戦況長期化やインフレ、税金・公共料金値上げへの国民の不満が高まっている。全ロシア世論調査センター(VTsIOM)の世論調査によれば、与党・統一ロシアの支持率は30%程度で、開戦後最低水準。与党はプーチン氏を前面に立てて選挙戦を乗り切る構えだ。

野党第1党の共産党は反戦を前面に掲げつつあり、マルハエフ下院議員はブログで、「現在の状況が続けば、社会不安や混乱が拡大し、社会的爆発を招く」と警告。ジュガーノフ共産党委員長も「このままでは、1917年のような革命が起きる」と予測した。

ウクライナ戦争の展開を探る上で、下院選前後の展開が要注意だ。

(初公開日:2026年8月7日)

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