周りに振りまわされるのは、自信がないから。自信がないのは、心が乱れているから。禅僧の修行は、心を整えるテクニックの宝庫だ。「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた高僧が、あなたの日頃の迷いに対して、考え方の筋道をわかりやすく説く。
入社試験では、いまでも学歴で優劣を判断されることがあります。しかし5年10年と勤めれば、仕事の実績が重視され、出身校など誰も気にしなくなるはずです。ビジネスの世界では、結果を出し続けることが重要であり、自分がなすべきことに打ち込めば、結果は自ずとついてくるでしょう。
劣等感が消えないのは、ありのままの自分を受け入れていないことが原因です。他人に少しでもよく見られたい、いま以上に評価されたいと思うのは、“プラスα”の自分を演じているから。その邪念が心を乱し、自分本来の力を発揮できないこともあります。
ありのままの自分で生きている人は魅力的に映ります。その人を応援してくれる人も増えていくでしょう。人間的な魅力があれば、大勢の人が集まり、仕事の成果も大きくなるのです。どんなに高学歴でも、人がついてこなければ、大きな仕事は成し遂げられません。社会で活躍する人たちを見れば、この差ははっきりしています。
それでもなかなか自信が持てないという人には、毎朝、掃除することをおすすめします。1日きりで終わらせては意味がありません。毎日、習慣づけることが大切です。
毎朝の掃除を3カ月も続ければ、背筋がすっと伸び、自分の見た目も変わってきます。背筋が伸びれば、凛として自信に満ちあふれた印象を与えます。
そして毎日の掃除は、心をきれいにしてくれます。心がきれいになると、表情は明るくなり、堂々と振る舞えるようになります。さらに魅力的な印象を与えて、同じように明るい人たちが周りに集まってきます。
自信がない自分を克服しようと、大それた目標を掲げる人もいますが、途中で挫折しては意味がありません。いまの自分にはほんの少し難しいこと、むしろ小さな目標を着実にクリアしつづけたほうが、滅多なことでは揺るがない確固たる自信が身につくのです。
1953年、神奈川県生まれ。庭園デザイナーとしても活躍。代表作に水戸・祇園寺庭園、東京・カナダ大使館など。多摩美術大学教授、ブリティッシュ・コロンビア大学特別教授も務める。『禅と禅芸術としての庭』『禅シンプル発想術』など著書多数。