がむしゃらに働いているのに小遣いはごくわずか。妻と子どもはそっぽを向き、老親の介護も。こんなに苦しいのに誰もわかってくれない――。ベストセラー『考えない練習』で読者から圧倒的な支持を得た名僧が、あなたの日頃の迷いに対して、考え方の筋道をわかりやすく説く。

「少ない」「足りない」と思う理由としてはまず「欲しいものが買えない」ということが挙げられるでしょう。それは「欲しいものが多すぎる」せいかもしれず、「なぜそんなにも欲しくなるか」を、考えてみる必要があるかもしれません。

他方で、「小遣い」という形で、妻から分配される額に「少ない」と不満を抱くのは、小遣いの額=自分の査定額のように感じられるから、ということがあります。妻の自分への愛情が小遣いの額に反映されていると感じるわけです。

その場合、不満の根源にあるのは「もっと自分の価値を認めて愛してほしい」との思い。これは仏教的には「慢」の煩悩であると申せます。「慢」とは「自慢」「傲慢」の「慢」であり、自分の評価への執着です。煩悩は私たちを「煩わせ」「悩ませる」心の衝動ですが、そうした心の仕組みによって不満が生じることを知ると、小遣いの額に対する感じ方が変わってくるのではないでしょうか。

(構成=岩原和子 撮影=若杉憲司)
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