子供に習い事をさせすぎたり、子供の習い事に口出しをしすぎたりするとどのような影響が出るのか。『スポーツの不都合な真実』(大修館書店)でスポーツが子に与える影響について書いた名桜大学の大峰光博教授は「子供のためと言いながら、わが子を周囲に自慢したいがために過剰な教育を施す親は、子供の成長や発育にさまざまな悪影響を及ぼしている」という――。
バスケットボールのコーチトーク中に悲しそうな顔をする女の子
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子を追い詰める「親の習い事への過干渉」

「子供の才能を最大限に伸ばしてあげたい」。親であれば誰もが抱くこの純粋な愛情が、時として子供の人生から大切なものを奪い、不幸に陥れることがあると言われたらどう思うだろうか。

昨今、スポーツや教育の現場ではコンプライアンスが厳しく問われるようになった。「監督が怒ってはいけない」バレーボール大会が注目を浴びたり、2025年の改正スポーツ基本法に「暴力等の防止」が盛り込まれたりと、指導者による理不尽な暴力やハラスメントには社会の厳しい監視の目が向けられている。スポーツの現場から、理不尽な「怒声」は減少している。

しかし、指導者が「浄化」された一方で、指導者に代わって子供たちを追い詰めている存在がある。他ならぬ「親」である。

親は良かれと思って「早期教育」という名の投資を続けるが、子供はいつしか親の虚栄心を満たすための道具になってはいないだろうか。本稿では、海外の研究成果や調査結果を参考に、過剰なスポーツ教育によって失われるものを指摘し、本当に子供のためになる環境づくりのアプローチについて論じたい。

親が自慢するための子供「トロフィーキッズ」

自分をよく見せたいという思いから、トロフィーキッズ(親が自慢するための子供)を育てようとする親は世界中に存在している。子供の意思を尊重せずに難関校への受験を強いたり、美術や音楽で過酷な英才教育を施したりし、それらの様子をSNSなどに頻繁に投稿して「裕福で教育熱心な素晴らしい家庭」というイメージを植え付けるための広告塔にするのだ。

結果やパフォーマンスの良し悪しがわかりやすいスポーツは特にトロフィーキッズと相性がよく、幼少期からハードトレーニングを課す親も珍しくない。親は子供の能力を最大限伸ばす責務があり、早期教育を行うべきという考えも存在する。