症状が出ることは「悪い」わけではない
ここで重要になるのが「自然免疫」です。
自然免疫とは、私たちが生まれながらに持っている、異物を素早く見分け、処理する仕組みのことです。自然免疫がうまく働いている場合、ウイルスが体内に入っても、初期段階で処理され、強い炎症反応を起こさずに済みます。その結果、本人は「何も起きなかった」「風邪をひかなかった」と感じるわけです。
一方で、自然免疫が過剰になったりすると、炎症が広がり、風邪などの症状として自覚されるようになります。ここで誤解してはいけないのは、症状が出ること自体が「悪い」わけではないという点です。
問題なのは、反応が必要以上に強くなり、長引いてしまうこと。つまり、風邪の症状が出るかどうかは、免疫が働いたかどうかではなく、免疫反応がどの程度まで広がったか、長引いたかによって決まります。
では、自然免疫がうまく働く人と、そうでない人の違いは何でしょうか。その大きなカギを握っているのが、ミトコンドリアの状態です。
免疫細胞は、異物を見つけ、動き、処理するために大量のエネルギーを必要とします。そのエネルギーを生み出しているのがミトコンドリアなのです。
元気な人は風邪をひかないように見える理由
免疫細胞だけではなく、感染した細胞のミトコンドリアが元気かどうかも重要です。ミトコンドリアが元気で十分に機能している免疫細胞は、感染した細胞に対し、必要に応じて素早く反応し、役目を終えたら速やかに沈静化します。
結果として、ウイルスは早期に処理され、炎症も最小限で済みます。これが「元気な人は風邪をひかない」ように見える正体です。
逆に、ミトコンドリアの働きが低下していると、免疫反応は鈍くなり、異物処理が遅れます。
その遅れを取り戻そうとして炎症が過剰になり、結果として症状が強く出たり、回復に時間がかかったりするのです。これは「免疫力が弱い」というより、「免疫の運用効率が悪い状態」といったほうが正確でしょう。
つまり、もともとの免疫力だけで健康状態は決まらない、ということなのです。

